2022.01.26

屋根カバー工法について

いつもお世話になっております。みらい住宅サポートの石渡です。
今回は屋根カバー工法についてお伝えしていきたいと思います。

屋根カバー工法とは、古い屋根のうえに軽い屋根を張ってかぶせる工事方法のことです。
古い屋根をはがして処分する手間と費用がかからないので、工事費用と工事期間を抑えることができます。
一般住宅ではコロニアル(スレート)のうえに軽い金属屋根(ガルバリウム鋼板もしくはエスジーエル鋼板)をかぶせる工事がよくおこなわれています。

解体がほぼ不要!?

解体と廃材処理が必要な部分は棟板金くらいなので、葺き替えなどと較べると費用がお安くなります。 2004年、原材料に含まれるアスベスト濃度の法規制が変更されました(詳しくは厚生労働省のサイトをご覧ください)。 2004年以前に施工された建築物の建材にはアスベストを含んだものがあります。アスベストを含む建材は環境負荷が高いために解体も難しく、その費用も、廃材処理費も高額になります。廃材がほぼ出ないカバー工法はこのような屋根にも最適です。 「アスベストを含んだ建材が使われている建物に住んでいて大丈夫か」とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、ご安心下さい。破壊や粉砕しない限り、空気中に飛散することはありません。 また、お住まいの屋根の種類が分からない方はご相談ください。

屋根カバーができる屋根は限定されている

全ての屋根にカバー工法が採用できるわけではありません。
たとえば、経年劣化がひどく、屋根下地が傷んでいる屋根は、カバー工法がおこなえません。

1⃣瓦屋根
瓦屋根

カバー工法の条件のひとつに、屋根面がフラットな状態であることがあげられます。
瓦屋根のように波立っている形状の屋根には、カバー工法はおこなえません。
そもそも瓦屋根は重いので、荷重を付加するカバー工法は適していません。

2⃣古いトタン屋根
古いトタン屋根

金属屋根にカバー工法をおこなうことは、技術的には可能です。
しかし、古いトタン屋根は屋根下地である野地板(のじいた)が傷んでいることが多く、屋根カバー工法をおこないたくてもできないことがほとんどです。

3⃣劣化が進んだコロニアル
劣化の進んだコロニアル

たとえコロニアルの屋根であっても屋根カバー工法ができない場合があります。
理由は先ほどの金属屋根と同じです。 たとえば、築後40年が過ぎている場合は、屋根カバー工法はできません。
また、雨漏りが生じている屋根も屋根下地が傷んでいることが多く、屋根カバー工法を避けたほうがよいでしょう。

屋根カバー工法のメリット

費用を抑えられてる

屋根カバー工法で屋根リフォームをおこなう一番のメリットはなんといっても工事費用の安さです。
古い屋根を残したまま屋根全面をリフォームでき、撤去処分費用を抑えられます。

断熱効果が向上する

屋根カバー工法をおこなうと、屋根の厚みが増し(屋根が2重になり)ます。
その結果、断熱効果が高まります。(多少です)
屋根カバー工法をおこなう時は、断熱材付きの金属屋根をつかうことをおすすめします。
裏側に貼り付けられた断熱材が室温の熱の吸収を抑え、雨音も抑えてくれます。
断熱材は屋根の鋼板と一体化しているため、断熱材を張る手間がありません。

構造材を痛めることなく工事ができる

比較的新しい木造住宅の場合、コロニアルを留めている釘が強固に打たれています。
比較的新しい屋根に力を加えてはがしてしまうと、屋根の構造材である野地板や垂木(たるき)に負荷を与えてしまいます。

屋根をはがす作業は神経をつかい、丁寧な作業が求められます。
しかし、なかには荒々しく屋根をはがす業者がいるかもしれません。
屋根をはがすことがない屋根カバー工法はこのような心配がなくなります。

屋根カバー工法のデメリット

屋根が重くなる

屋根カバー工法をおこなうと、新しく被せる屋根の重さが加わるため、屋根全体が少し重くなります。
耐震性への影響は軽微とみなされています。
壁量が不十分であったり、壁の配置がアンバランスな建物には適しておりません。

被せる屋根は軽い金属屋根が一般的によくつかわれます。
金属といわると重いイメージがありますが、厚さが約0.4mm程度の鋼板なので、とっても軽いです。
ぜひ、金属屋根のメーカーもしくは業者さんから金属屋根のカットサンプルを取り寄せてください。
実物を手にしてみると、驚くほど軽いことがよくわかります。

屋根を元に戻す工事ではない

屋根カバー工法は屋根を完全にリフレッシュさせる工事ではありません。
古い屋根の下地はそのまま再利用するかたちになります。
そのため、屋根下地の劣化が進んでいる状態でカバー工法をおこなった場合、これから20年、30年先も屋根機能が維持できるか疑問です。
築後30年以上が経過している住宅で、まだまだ長く居住し続けたい希望があるかたは葺き替えも検討してください。

最後に

屋根カバー工法についてご紹介しました!
屋根カバー工法と葺き替えのどちらの工事にするべきか、お悩みのかたは多いはずです。
屋根機能を長く維持させる観点では、葺き替え工事がベストです。
しかし、費用対効果を考えると、屋根カバー工法によるリフォームが有力な選択肢となります。

お住いのリフォームについてお困りの方はお気軽にご相談ください!