外壁塗装の下地処理は最重要!!
お世話になっております。みらい住宅サポートです。
今回は外壁塗装において「最重要」な下地処理について解説させていただきます。
我が家も築10年が過ぎ、改めて我が家を見てみるとひび割れも目立つ…もしかして我が家も塗装工事をする時期?
ひび割れが起きたり、シールが劣化してきて気になる。。。
そんなきっかけで外壁の塗装工事を検討される方が多くいます。塗装工事を考えている人の多くが気になるのは『良い工事になるだろうか』というところ。ですが、『良い工事』がどんな工事なのかは案外答えづらいものです。高級な塗料を使う事でしょうか。じっくり時間を掛けて塗り込む事でしょうか。
良い塗装工事の基準としてもっとも重要な事の一つに『下地処理がしっかりしているか』という事があげられます。下地処理とは上塗りとなる塗料が壁面に付着するよう、塗装する下地面の汚れを落とし、劣化部分に処理を施して平滑に整えることです。
この下地処理がしっかりできていないと品質の高い塗料を使ってもすぐに剥がれてしまったり、本来の塗料の性能が発揮されず早期に劣化がおこる場合があります。下地処理が塗装の仕上がりに寄与する割合は50%~60%といわれています。つまり、塗装工事の質の良さは下地処理の質に大きく左右されるのです。
この記事では下地処理はなぜ必要なのか?下地処理にはどんな種類があるのか、また金額はいくらなのか?など塗装工事を検討されている方に役立つ情報を網羅しています。
この記事を読んで外壁塗装工事の下地処理を知り、今後塗装工事を検討する際の価値基準として役立ててください。
1.屋根や外壁の塗装工事でどうして下地処理が重要なのか?
1-1.下地処理は塗料の密着を良くする為におこなうので最重要!!
いざ塗装工事を開始する!となった時に塗料をそのまま壁に塗ればいいというわけではありません。冒頭でも述べたとおり、下地処理という作業が必要になります。下地処理とは壁面に付着しているホコリやサビ、旧塗膜から浮き出た顔料、排ガス汚れ、苔・藻などを高圧洗浄で洗い落とし、ひび割れなどを補修する事をいいます。
壁面のヒビを補修し塗装面を平滑にして、汚れを落とさないと塗料がしっかりと密着しないのです。
1-2.下地処理をおこなわないと起こる劣化症状
では下地補修をおこなわないで塗装をしてしまうとどんな劣化症状がおこるのでしょうか。
初期不良 | 原因 |
---|---|
ヒビ割れの再発 | 補修をおこなわずに、ヒビ割れの上から塗装をおこなってしまうと塗料はヒビ割れに追随できなくなり、やがて割れてしまいます。 |
塗膜の剥離 | 塗装をする面の汚れの除去が十分でなかった場合、塗料が下地に密着せず数年で剥離する場合があります。また、塗料メーカーが指定する乾燥時間を守らずに塗ってしまった場合にも発生する場合があります。 |
塗膜の膨れ | 下塗り材を塗った後の乾燥時間が十分でなかった為、閉じ込められた水分が気化し、膨れが発生します。 |
サビの再発 | サビとは金属の腐食です。主な原因は塗料の防水効果が失われ、水分が金属とふれあい酸化する事です。サビ再発はケレンが十分でなかったり、防サビ材がきちんと塗布されていない場合に発生する可能性があります。 |
施工をする者の知識不足や手抜きによって下地処理が十分におこなわれていない場合、上記のような初期不良が発生する場合があります。いくら綺麗に塗装をおこなっても基礎となる下地処理が十分でなければ本来の効果は発揮されないのです。
1-3.外壁塗装前の下地処理の施工の流れ
下地処理とは塗装工事のいったいどの部分なのでしょうか。
大まかに手順を説明させていただきます。
①足場設置→②高圧洗浄で汚れを落とす→③ヒビ割れ補修、下地調整→④窓周り、塗らない箇所の養生→⑤下塗り、中塗り、上塗り→⑥検査、各所手直し→⑦掃除、清掃→⑧足場解体
下地処理は家の周りに足場を掛けたあと、高圧洗浄で汚れを落とし、下塗りをおこなう前にする補修の事です。
2.塗装工事前におこなう下地処理の種類と手順
2-1.塗装工事でおこなう下地処理の種類
下地処理といっても部位や劣化状態によって様々にあります。よくおこなわれる下地処理は下記のとおりです。
①ヒビ割れの下地処理②構造クラック(ヒビ割れの幅が0.3ミリ以上)の場合③サビの下地処理④木部の下地処理
2-2.サイディングの外壁におこなう下地処理の手順と金額
ここからは下地処理の手順をより詳しく解説していきます。サイディング外壁は窯業系、金属系、木質系、樹脂系の4種類があります。住宅外壁材シェア率の70%を占めている窯業系サイディングの下地処理の手順と、おおよその金額をご紹介します。
■サイディング外壁のヒビ割れへの下地処理の手順
①ひび割れ部分を清掃する
まずはカッターなどでV字に削り溝を作ります。その後、ひび割れ部分を刷毛などを用いてキレイに清掃し汚れやゴミなどを除去します。
②プライマーを塗布する
清掃が完了したら次はプライマーを塗布します。プライマーはシーリングと下地との接着力を高める役割を担う工程です。
③シーリングで充填する
シーリングを充填して、ひび割れの箇所を埋め、ヘラを用いて平らに成形し、しっかり防水することが大切です。
サッシ周りやサイディングを止めている釘周りにヒビ割れが発生しやすくなっています。ひび割れの幅が0.3ミリ以上の構造クラックになると、下地補修では対応ができない場合があります。軽度なヒビ割れの時にヒビ割れの補修と塗装工事をおこなう事をオススメします。
■サイディング外壁のシーリングの補修の手順
①シーリングを撤去する
カッターなどを用いて切れ目を入れペンチを使って既存のシーリングを撤去します。
この際、傷んでいる部分だけではなく、全てのコーキングを撤去します。
②バックアップ材の設置
シーリング材を撤去後、目地底にバックアップ材を戻します。切れたり、老化している場合は新規にバックアップ材を施し、シーリング材の三面接着を防ぎます。
③養生し、プライマーを塗布する
養生テープを用いて、シーリングに近い外壁部分の養生作業を行います。シーリングのはみ出しを防ぎ一定の厚みで打ち換えを行うガイド役になるため非常に重要な作業であると言えます。その後、サイディング本体の補修と同様、プライマーをサイディングの側面に塗布します。
④シーリング充填する
シーリングを目地部分に流し込み、ヘラなどで内部に隙間がないように均等にしていきます。この場合のシーリング材は後の塗装膜に可塑剤が以降し、汚染しないようノンブリードタイプを使用します。
■サイディング外壁の下地処理費用の概算
項目 | 概算価格 |
---|---|
サイディングのヒビ割れの補修をおこなう場合 | 5万~30万円 |
シーリング材の打ち換えをおこなう場合 | 15~30万円 |
ヒビ割れの数やシーリングの長さによって変動はありますが、おおよそ上記のような価格になるでしょう。
サイディングはコストパフォーマンスがよく、耐火性、耐久性をもった優れた建材です。
しかし、主成分であるセメントは吸水性が高く、反るというデメリットを持っています。サイディングの外壁は水分が中に入らないようにする事が重要です。そのためにはヒビ割れやシーリングの下地処理を適切におこない、その上から塗装工事をおこって防水性を高める必要があります。
サイディングの補修についてさらに詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
2-3.モルタルの外壁におこなう下地処理の手順と金額
モルタル外壁は、セメントと砂(細骨材)と水を練り混ぜて作る外壁のことです。
現在主流の外壁材であるサイディングボードは、成形された凹凸模様のボードを組み立てるためオリジナリティは出しにくいのですが、モルタル外壁は現場で職人により塗装材を施工していくため、自分の好みに合わせたデザイン・仕上がりを選ぶことができます。
■モルタル外壁のヒビ割れへの下地処理の手順
①クラック部分カット
既存のクラック部分を専用の機材にてカットした断面がU字になるようにカットします。クラックの中はガタついているため、補修材が均等に行き渡らずすぐに破損してしまうおそれがあります。そのような状態にならないようにするために、カットの幅・深さを10㎜程度確保します。
②シーリングプライマーの塗布
クラック部分を乾燥させ、ホコリを清掃後、使用するシーリングのプライマーを塗布します。
③シーリングの充填
モルタル外壁よりも少し低くコーキングを充填します。充填後、ただちにヘラで押さえて表面を平滑にします。
④防水モルタルの塗布
コーキングに接着剤を塗布し、既存の外壁の高さに合わせるように防水モルタルを塗布してコテなどで平らに仕上げます。
⑤塗装
クラック補修の部分を既存外壁の色と合うように塗装をします。部分補修を行った場合、他の外壁箇所との色の差が出てしまうため、可能な限り外壁全体を塗り直すことを推奨します。
■モルタル外壁の下地処理費用の概算
業者に依頼する場合、構造クラックなど大規模な補修工事を行い、その後塗装作業も行うため、3,000~5,000円/㎡が相場と言われています。
部分的な補修を行うと他の外壁との色が合わずに違和感のある仕上りになってしまうため、全体的な塗装を行うこともあります。その場合は、部分補修よりも高額になります。
いかがでしょうか。モルタル外壁はセメントを主成分としている建材です。さらに地盤の揺れなどで基材が割れやすいという性質を持っています。
モルタル外壁のお住まいの方は0.3ミリ未満のヘアクラックが家にないかを確認し、ヒビ割れが軽度の段階でしっかりとした下地処理をおこない塗装する事をオススメします。
モルタル外壁の下地処理についてさらに詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
2-4.鉄部におこなう下地処理の手順と金額
住宅の中でも門扉や雨戸、手すり、金属製の階段、ポスト、給湯器など鉄でできた部分は様々にあります。鉄部は塗装が施されていますが、鉄部と水と空気にふれると酸化し錆を発生させます。
■鉄部のサビへの下地処理の手順
①劣化した塗膜を除去する
鉄部の旧塗膜をケレン工具を使用して除去します。
②鉄部に発生しているサビを削り取る
ワイヤーブラシやサンドペーパーなどで発生しているサビを十分に除去します。
③鉄部を綺麗にする
ウエスで汚れを拭き取ります。ケレンで出た削りカスが付着したままだと塗料の密着性が低くなってしまいます。
■鉄部の下地処理費用の概算
鉄部の下地処理をする際、金額を決めるのは、「錆をとる手間代」+「塗装の手間代」+「塗料代」です。塗料が同じでも劣化具合や、下地処理の手間によって金額は当然変わってきます。ここでは、鉄部を下地処理し塗装した場合の費用相場をご紹介します。
各部位の一般的な費用相場(足場設置代は含まない)
箇所 | 相場 |
---|---|
雨戸 | 1,600~3,000円/枚 |
戸袋 | 1,600~3,000円/箇所 |
門扉 | 10,000~20,000円/2枚 |
鉄骨階段 | 50,000~200,000円 |
シャッターボックス | 700~1,000円/箇所 |
ポスト | 4,000~8,000円 |
鉄でできた部分は塗装が劣化すると一気にサビが進行します。鉄部がサビてしまったら、発生したサビを丁寧に除去する事が重要です。サビの除去が十分でなかったりサビ止めが使用されていないと早期に再発する可能性があります。
鉄部の塗装に関してもっと詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてください。
2-5.木部におこなう下地処理の種類と金額
軒天井やウッドデッキ、濡れ縁など木が使用されている箇所にも塗料によって塗装されています。木部に使用される塗料は表面に膜圧をつける『造膜タイプ』のものと、木材に浸透させて吸水を防止する『浸透タイプ』のものがあります。
■木部への下地処理の手順
①高圧洗浄で苔や藻を洗い流す
藻やカビ、その他汚れ等を洗浄します。高圧洗浄機を使用する場合は、木を傷つけないように注意します。
また、木材が湿ったまま塗装をすると塗膜の剥離が起きてしまうので、十分に乾燥させてあげましょう。
②木部の表面をケレンする
造膜タイプの塗料が残っている場合、再塗装時に塗料がのりにくいので、サンダーやカワスキで落とします。
研磨することで木材と塗料の密着が良くなるので、浸透タイプの塗料の場合でも研磨することをオススメいたします。
③木部の表面を目荒しする
軒天井など一部の木部では造膜塗料の密着性を高める為に、目の細かいヤスリで木部の表面を目荒しします。
④木部の表面を綺麗にする
ケレンした木くずをほうきやウエスなどで綺麗にします。
■木部の下地処理費用の概算
木部の下地処理も劣化の状態で変わってきます。下記の金額はあくまで目安ですが、一般的な木部の下地補修にかかる費用です。
箇所 | 単価/㎡ |
---|---|
下地処理費(ケレンなど) | 200円~300円 |
いかがでしょうか。この章では住宅の外壁材によく使用されている建材であるサイディングとモルタルの補修方法、また金属でできた建材への補修方法、住宅の付帯部に多くある木部への補修方法を手順と金額を中心にして説明しました。この章で説明した大事な部分をおさらいします。
3.下地処理と合わせてチェックしたい業者選びの2つのポイント
下地処理は塗装の基礎となる部分です。下地処理がしっかりとできていないと、いくら良い塗料を使っても効果が発揮されません。また、下地処理と同じくらい重要になるのが『しっかり下地処理をしてくれる業者』ということです。いくら私たちが「下地処理は重要なんだ!」と理解していても、実際に施工をする業者が下地処理を適切におこなってくれなければ意味がありません。
ここではしっかり施工をおこなってくれる業者かどうかを判断できる2つのポイントについてご紹介します。
3-1.適正な診断をおこなう業者に工事を依頼しましょう!
まず初めに重要なのがしっかりとした診断をおこなってくれる業者かどうかです。下地処理の方法は様々あります。劣化の状態や部位によって異なってきます。
その為、診断をおこなう業者にしっかりと知識があるかが重要になります。
3-2.工事保証の内容を契約前に確認しましょう!
いくら入念に比較検討をして良い業者にめぐり合い、しっかりと下地処理をして塗装しても不具合のリスクはゼロではありません。下地処理の不足は不具合の1つの要因でもあります。もちろん、下地処理以外の要因で不具合が発生する可能性も考えられます。
様々な施工上の要因で早期に剥離などの症状が出た場合、良い業者ならしっかりと対応をしてくれるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では外壁塗装工事の下地処理にスポットを当ててご紹介させていただきました。
①、では『なぜ下地処理が重要なのか』について説明をおこないました。下地処理ができていないといくら良い塗料を塗っても本来の効果は発揮されず初期不良に繋がる可能性があります。
②、では主な壁材や金属部、木部でおこなわれる下地処理の種類や手順、そして金額のご紹介をしました。下地処理は建材や劣化の状況によって様々あります。大切なのは劣化がまだ初期のうちに適切な下地処理をおこなって再度、塗装をおこなう事です。
③、では下地処理と同じくらい重要な業者選定の基準についてご説明しました。下地処理が大事だ!といくら私たちが理解しても施工業者が下地処理をしっかりやってくれなければ意味がありません。だから下地処理の重要性を理解するのと同じくらい、業者を選定する判断基準を知る事も大切なのです。
この記事を読んで、『下地処理は塗装工事の中で重要な工程なのだ』と理解していただけたら幸いです。
下地処理をどれだけしっかりやってくれるのかを業者を選定する一つの判断基準にしてください。
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