ウレタン防水について
ベランダや屋上の防水工事でよく耳にする「ウレタン防水」ですが、具体的にどのような工事なのか、ご存じでない方も多いと思います。
そもそもウレタンとはプラスチックの一種であり、ウレタン結合と呼ばれる化学反応によって生成される「樹脂」のことを指します。
配合や方法を変えることで様々な性質のウレタンが生まれ、スポンジや塗料、接着剤や断熱材等、世の中のあらゆるところで活用されています。
ウレタン防水とはこの「生成されたウレタン樹脂」を施工箇所に複数回塗ることで防水層を形成し、建物への水の侵入を阻むことを目的とした防水工事なのです。
施工方法
1,密着工法
ウレタン防水材を塗布し補強布を張り付け、さらにウレタン防水材を塗りつけて所定の厚さに仕上げる施工方法です。
・特徴
ウレタン防水層では膨れのトラブルが懸念されます。
原因として、下地の乾燥が不十分な状態で施工された場合や、下地の清掃不良、プライマー塗布量の過不足、補強布類の接着や押え不足などで施工不良に至る可能性が考えられます。
2,通気緩衝工法
通気性能を有する通気緩衝シートを張り付け、その上にウレタン防水材を塗布することで形成される防水工法です。
・特徴
膨れの原因となる下地に含まれている蒸気化した水分を、外部に脱気させることのできる、安全で信頼性の高い工法です。
ウレタン防水が主に使われる場所
・バルコニーやベランダ
・マンションやビルの屋上
・店舗の調理室など
その他複雑な形状をした場所にウレタン防水は優れています。
ウレタン防水メリット
・複雑な場所にも施工可能
・既存防水層を撤去しない重ね塗りが可能
その為廃材が出づらい
・防水層が軽量で建物に負担をかけにくい
・継ぎ目のない防水層が形成可能
・工期が短く、コストを抑えることが可能
ウレタン防水デメリット
・手作業のため、塗膜面の均一性が難しい
・塗装のムラは劣化を早める原因になる
・施工中は雨に弱く、硬化不良の可能性がある
・メンテナンス(5~6年)に一度トップコートの塗り替えをする必要がある
ウレタン防水補修のタイミング
防水工事を行なってから10年以上経過している場合は防水工事を、5年ほどの場合は、防水層を覆っているトップコートの塗り替えが必要です。
メンテナンスは早めの方が費用も安くなります。
雨漏りしていなくても、ベランダやバルコニーなど目視可能な箇所は定期的に劣化症状がないかチェックをしましょう。
直接目視できない場合は、近くの高い建物などから望遠鏡を使って確認したり、防水工事を行なってから5~10年の間に業者に点検の依頼をするのが1番確実かと思います。
望遠鏡を使って劣化症状が見られた場合は、実際近くで見るとよりひどい状態であることが多いため、出来る限り早めに業者に診断の依頼をしましょう。
メンテナンスや補修のサインについて
1つでも当てはまれば、防水の寿命が薄れている可能性が高いです。
・表面が色あせている
・ひび割れが発生している
・ルーフドレン(水を外部に流すための排水溝)の周りにゴミがたまっている
・雨上がりなど、一部分に水がたまってい
・コケや藻、雑草が生えている
こちらの症状が見られる時は劣化が始まっているサインなので要注意です。